「聖杯とはあらゆる願いを叶える願望機だ」
と、某Fateの某神父さんもええ声でいってましたが。最早、ファンタジー界隈では知らぬ者のいないド定番アイテム「聖杯」。実はファンタジーの本場(?)、ヨーロッパでも中世から「聖杯探索の物語」として永く語り継がれる人気アイテム(?)です。
ということで、今回は「聖杯探索の物語」とそれと関わりの深い人物である「円卓の騎士・パーシヴァル」に関する考察レポートです。
中世から愛されるファンタジーの殿堂「聖杯伝説」
聖杯探索の物語=「聖杯伝説」は古く中世ヨーロッパから愛される物語の一つです。元々はそれ自体が独立した物語であったようですが、語り継がれる過程で「アーサー王伝説」とも結びつき、より人気を得ていったよう。中世後期には既にアーサー王伝説の柱となる物語の一つともなっています。
まあ、あらすじはざっくりと「病に苦しむ王様の病気を治すために、勇敢な騎士たちが奇跡の力を持つという聖杯を探すための旅にでる」という内容です。
アーサー王伝説と聖杯伝説を結ぶ「円卓の騎士」
アーサー王伝説を構成する4つの物語の中の一つともされる「聖杯探索の物語」。しかしこの「聖杯探索の物語」にじつはアーサー王自身はほとんど関連がない。
そもそも「病に苦しむ王様」というのも「アーサー王」ではない。「漁夫王(いさなとりのおう)」、別名フィッシャーキングというまったく別の人物です。
ではアーサー王伝説と聖杯伝説を結ぶ存在とはなにか? それは「円卓の騎士」です。聖杯を探すために旅立った勇敢な騎士こそ、アーサー王に仕えし勇敢なる「円卓の騎士」だったわけです。
特にその中でも聖杯伝説に関わりの深い円卓の騎士が「ギャラハッド(ガラハッド)卿」、そして「パーシヴァル卿」です。
聖杯探索における「成功者」
「聖杯伝説」=聖杯探索の物語において、その「成功者」として有名な人物に円卓の騎士「ギャラハッド(ガラハッド)卿」がいます。ギャラハッド(ガラハッド)卿はあの裏切りの騎士「ランスロット卿」の息子としても知られています。
ただ、実際のところ、このギャラハッド(ガラハッド)が有名になったのは、おそらく某FGOで重要キャラクターとして登場(?)したこと大きな原因であると推測します。
某Fateでギャラハッド(ガラハッド)が注目を集めるまで、その中心的な人物だったのが同じく円卓の騎士である「パーシヴァル卿」です。実際、ヨーロッパで描かれる聖杯伝説では、このパーシヴァルを主人公としたモノが多く、ペルスヴァル、パルチヴァール、パルツィファル、パルジファル等様々な呼び名のバリエーションが存在する点からもその人気を伺えます。
しかしそんなパーシヴァルですら、聖杯探索以外の活躍はあまり語られていない。せっかくこのパーシヴァルについて調べて見ようとおもったのに、調べても調べてもあまり深い話がでてこない、または聖杯伝説関連以外の話題が広がらない。なぜだ・・・???
パーシヴァルにしろギャラハッド(ガラハッド)にしろ、まるで聖杯伝説専属ともいえる立ち位置です。・・・どうも、それにはちょっとした時事があるようです。
聖杯伝説とキリスト教との深い関わり
キリスト教における聖遺物「聖杯」が物語のキーとなっている以上、聖杯伝説とキリスト教は深い関わりがあります。こうした「お伽噺」を宗教の教義を広めるためのツールとして使うことはままあることです。
あくまで一説ですが、どうも「聖杯伝説」自体が、キリスト教の教義的な要素をもっているよう。聖杯による奇跡=イエスの奇跡の力の象徴として描かれているわけですね。
そのため、あまりにその背景がしっかりしている伝説上の登場人物を使ってしまうと、色々と不具合もあったりする。つまりパーシヴァルもギャラハッド(ガラハッド)も聖杯伝説と結びつけるには丁度いい立ち位置のキャラだった、もしくは場合によっては後付け的に登場してきたキャラであった可能性もあるのかな? という印象。あくまで個人的な印象ですが。
因みに上記の「漁夫王」の病の原因は、かの聖遺物「ロンギヌスの槍」によって受けた傷が原因らしく、それは決して癒えることがない呪われた傷であり、それを癒やすために同じく聖遺物である「聖杯」の奇跡が必要だったといわれています。
聖杯伝説にロンギヌスの槍まで登場していたとは。やはりキリスト教との関わりは深いようですね。